GA4・広告計測で、まず確認する順番は、いま困っていることで決まる
GA4や広告の計測で、何から確認すればいいか。その順番は、いま何に困っているかで決まります。
ただ、どの状況でも最初に見る数字は同じです。広告管理画面のコンバージョン数と、GA4(または社内の受注データ)の実数との乖離です。
同じ期間・同じ定義で並べてください。2〜3%以内なら、計測は最優先の課題ではないかもしれません。倍以上ずれているなら、入札戦略を見直したりツールを替えたりする前に、計測を直すのが先です。
このページでは、これまで書いた計測の記事14本を、発注者の状況別に4つに分けて並べました。いまの自分に近い節から読んでください。
私は上場企業でマーケティング責任者を務め、月間1億円規模の広告費を統括していました。責任者になる前は自分で運用も担当していました。現在はMarket Engineering代表として、GA4/GTM/sGTM等の広告計測設計、広告運用代行、広告運用のインハウス移行を北九州・大阪の2拠点で支援しています。
① 代理店に任せているなら、レポートに載っていない数字から確認する
代理店に運用を任せていると、見える数字は月次レポートに載っているものだけになります。
これは担当者の能力の問題ではありません。決められたフィーの中で、決まった様式のレポートを回すという収益構造の問題です。上から順に読むと、レポートの外を見る理由、定例会での聞き方、契約の選び方、引き継ぎのときの確認の順につながります。
毎月レポートに目を通していても、市場規模と逆転していた地域別の予算配分には、インハウス化して自分でアカウントを開くまで気づけませんでした。載っている数字が正しいかを検証することと、載っていない軸を見つけることは、別の行為だという話です。
定例会を何事もなく終わらせる説明の3つのパターンと、広告の専門知識がなくてもその場で返せる5つの質問です。最初の一歩は、アカウント全体とすべての広告グループの数字を、毎月同じ並びで出してもらうことです。
担当者ガチャを回避せよ。広告代理店から最大限のパフォーマンスを引き出す3つの条件
広告費に対する手数料で成り立つ代理店の収益構造から、広告費の少ない広告主に手がかけられにくい理由を書きました。その代理店の中で上位の広告費規模になること、担当者を指名できる契約形態を選ぶこと、担当者の実績を事前に確認することの3つが条件です。
代理店から計測を引き継ぐとき、資料より先に確認すべきことがあります
計測の引き継ぎで問題が起きるのは、マニュアルに最初から書かれていない部分です。設定した理由・既知の不具合・タグの一覧を聞くこと、権限の名義の確認、合計ではなく内訳の突き合わせ、段階を分けた切り替えの4つを書きました。
② 計測を直したいなら、設定の確認と社内の通し方を確認する
計測を直したいときは、設定そのものの確認と、直すための予算や工数を社内で通す話の、両方が要ります。
設定の確認は最初の2本、社内の話は後の3本です。
GA4で正しく計測できていない?中小企業がはまる設定ミス3選と確認方法
コンバージョンイベントの未設定、GTMのタグの発火不良、GA4と広告アカウントの未連携の3つです。リアルタイムレポート、DebugView、広告アカウントとの連携状態の順に、自社で確認する手順も書きました。
広告費月100万円未満の会社がGA4に本当に設定すべきイベントは2つだけだった
設定すべきイベントは、フォーム送信と、本当にほしい顧客に絞ったコンバージョンの2つです。直帰率・スクロール率・滞在時間を意思決定に使わなくていい理由も書きました。
sGTMの要否は計測精度では決まらない。決めるのは「誰がどこを触れるか」
sGTMを入れるかどうかは、サイトに触らずに計測を変えられる範囲を、どこまで広げたいかで決まります。詰まるのは月額費用ではなく、DNSの承認フローと、導入後に誰が運用の当番を持つかです。
計測は改善施策ではなく保険とインフラなので、稟議に書く効果の欄が構造的に空欄になります。それでも通る4つの文脈(移行・障害・人・自動入札への影響)と、数字を捏造せずに式と空欄で書く方法です。
web計測環境を整えたら「広告費40%減・コンバージョン58%増」。
会社員時代に計測を直し、広告費を40%削減しながら、コンバージョン数を58%増やした話です。お金になったのは計測の修正そのものではなく、正しい数字を見て獲得ゼロの出稿を止め、獲得できている側に予算を寄せた判断のほうでした。
③ 自動入札が回らないなら、件数より先にコンバージョンの中身を確認する
自動入札が安定しないとき、まず疑われるのはコンバージョンの件数です。
件数には目安があります。ですが、件数が足りていても回らないことがあり、そのときに足りていないのはコンバージョンの中身です。
Google広告の自動入札に必要なコンバージョン数の目安と、件数より先に疑うこと
tCPAなら1日あたり3件以上、tROASならその倍の6件以上を目安にしています。件数が足りているのに回らないなら、管理画面とGA4の乖離を確かめ、件数を増やす前に中身を直します。
「コンバージョンをGA4で計測しましょう」と言われたら、まず確認すべきこと
「GA4で計測する」が、GA4でイベントを計測できるようにするだけの話か、Google広告のコンバージョンをGA4経由のインポートに切り替える話かを、まず確かめます。切り替えの話なら、既存の直接タグの扱い、自社に本当に必要か、切り替え直後の数字の変動の説明の3つも確認します。
④ AIを使いたいなら、AIに渡すデータとAIに見えていない部分を確認する
AIに広告運用や計測の相談を任せる前に、確認しておくことは2つです。AIに渡しているデータが正しいか、そしてAIに見えていない部分がどこか、です。
AIは送られてきたコンバージョンを成果として学習するので、計測が汚れていれば、その汚れに向かって最適化を続けます。コンバージョンの質、AIが学べるだけの量、AIに任せる判断と人間が握る判断の線引きの3つを書きました。
AIは多数派の仕様・多数派の実装に合わせて答えるので、一般的には正しいのに、目の前の実装には当てはまらない答えが返ってきます。実装に落とす前に、自分の管理画面で確認する3つの項目を書きました。
AIに代替されるのは知識と成果物の体裁で、残るのは問題の発見、判断の較正、実行と責任、時間の4つです。やると決めたのに着手していない計測・広告まわりのタスクが複数あるなら、止まっている理由は知識ではなく時間です。
よくある反論への回答
「14本も読む時間はありません。1つだけ確認するなら何ですか?」
1つだけなら、冒頭に書いた乖離です。広告管理画面のコンバージョン数と、GA4(または社内の受注データ)の実数を、同じ期間・同じ定義で並べてください。
倍以上ずれていたら、③のGoogle広告の自動入札に必要なコンバージョン数の目安と、件数より先に疑うことから読むのが近道です。
「AIに聞けば、何から確認すればいいかも教えてくれるのでは?」
仕様や手順を知る入り口としては、AIは十分速いです。ですが、自社の管理画面で何が設定されていて、乖離がどれくらいあるかは、AIには見えていません。
その部分は、自分の管理画面を開いて確かめるしかありません。確かめる項目は、④のGA4の疑問をAIに聞いたら、もっともらしく間違えた話に書きました。
「代理店が計測も見てくれているので、確認は要らないのでは?」
代理店は、自分が運用している媒体のタグは見ています。ただし、媒体をまたいだ整合性は、構造的に誰の担当でもありません。
社内の受注データと突き合わせられるのも、そのデータを持っている社内の側だけです。代理店に任せたままでも、突き合わせる軸を発注側が決めてレポートに含めてもらうことはできます。
この記事の内容を自社に当てはめたい方へ。
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